歯周病はお口の健康を左右するだけでなく、全身の健康にも影響を与えるということをご存知でしょうか? 歯周病を引き起こす歯周病菌が血管に侵入すると、血流に乗って全身をめぐり、他の臓器や組織に以下のようなトラブルを招く可能性があります。「お口の病気だから」とあなどらず、全身にも悪影響を与えるリスクがあることを強く認識しておきましょう。
呼吸系疾患
まだ研究段階ではありますが、歯周病をはじめとする口腔内の感染症が、呼吸器系への感染を引き起こしやすいことはすでに明らかになっています。よって、歯周病の方は肺炎(誤嚥性肺炎)、気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性疾患といった呼吸器系疾患にも注意が必要です。煙草を吸う方、ご高齢の方、疲れがたまっている方、生活が不規則な方などは免疫力が低下しやすいので、気をつけましょう。
早産・低体重児出産
早産や低体重児出産の危険因子の一つに母親の喫煙・飲酒の習慣が挙げられますが、歯周病もタバコやアルコールと同じ。歯周病にかかっている妊婦は、早産・低体重児出産のリスクが7倍も高くなるという研究データもあります。現在妊娠中の方、妊娠を希望している方は、一度早めにご相談ください。当院では歯周組織の検査を行い、歯周病の発症リスクなどをふまえて適切な処置を行っています。
糖尿病
歯周病と糖尿病には密接な相互関係があり、歯周病にかかっていると糖尿病の血糖値をコントロールするのが難しくなり、重度の歯周病の場合は血糖値が高くなって糖尿病を悪化させてしまうことが分かっています。長時間にわたって体が血糖値の高い状態にさらされると、さまざまな合併症に対するリスクが高くなるため注意が必要です。歯周病をコントロールすることは、血糖値をコントロールすることにもつながります。
心臓系疾患
歯周病の細菌がどのように心臓に影響するか――についてはまだ十分に解明されていませんが、口腔内の歯周病菌が血液中に入ると、これが血管の壁に付着して動脈硬化を促し、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患を招く要因になると考えられています。歯周病にかかっている方はそうでない方に比べて、致命的な心臓発作を起こす危険が約2倍にもなることが報告されています。